進和学園植栽地見学&苗作りツアー レポート
posted on 2011/07/30

2011年7月23日、快晴、気温28度程度、心地よい風ありで、ツアーには絶好の日和でした。
この日訪問したのは、平塚の進和学園さん。進和学園とは知的障害者のための生活介護・就労支援の施設です。就労支援の一環としてドングリから苗木を育てる事業を手がけていらっしゃり、
くくのちのモリプロジェクトにとっては師匠のようでもあり、多摩美での植樹の強力なサポーターでもあります。
http://www.shinwa-gakuen.or.jp/inochi_no_morizukuri

午前10時に、平塚と鶴巻温泉で待ち合わせ、車でお迎えに来ていただき、苗木育樹場所「どんぐりハウス」で合流。
広々としたハウス内で様々な苗木を育てていらっしゃいます。ハウスは「まじぇるハウス」と合わせて二棟並んでいます。一度の水やりに二人で2時間はかかるとのこと、それでもこの設備だからこそのスピードですね。規模の大きさに皆びっくりです。
日差しがきつい時用に、日よけのシェードを利用したり、土の上にシートを敷いたり、進和さんの「どんぐりチーム」さんが働きやすいように、様々な工夫がなされています。進和学園就業支援団体、(株)研進代表の出縄貴史さんのお話では逆説的に、「過酷な環境で育った苗木は植樹してから強い。」とのこと。多摩美の苗は強い子に育つ可能性大ですね。

タブの実ももう蒔かれていました。藁に優しく覆われて、ぎっしり身を寄せ合っています。(納豆のイメージと重なりました。)この時期蒸し風呂のようになるというハウス内も、この日は時々風が通って過ごしよいようでした。
ハウスの中で、くくのちメンバーは目ざとくアマガエルを何匹か見つけました。例によって、「あらら。」「かわいいねー。」一躍人気者。
その後、「しんわルネッサンス」に車で移動。まず、植樹5年後の森を見学。「5年でこんなに大きくなるのか。」と本物を目にして皆驚きました。幹の太さでは、タブ、山桜が群を抜いていました。

木々はみっしり密集していて、中には入れません。
多摩美の森も道をつけたほうがいいねという話が出ました。

そして、風通しのいい戸外に即席に作ってくださった、大きなテーブル四台に数名ずつ分かれて、苗木作りに挑戦。スダジイとシラカシとアラカシとヤマモモ。
それぞれのテーブルで、トロ箱にびっしり芽を出してひしめき合っている苗木をほぐし、一本一本ポットに植えていきます。
手順は先日の多摩美のポット分けと同じです。和やかに歓談しながらも、ドングリの生命力を手先に感じ、作業に熱中いたしました。

1000鉢できました!

その後は待望のお昼ご飯。美味しいカレーです!サラダ、デザート、アイスコーヒー付!
厨房にも進和さんの利用者さんチームが3人働いていらっしゃるとのこと。
食堂の大きなガラス張りの窓いっぱいに、5年前に植樹された森の緑が広がります。
食後は利用者さんの作業所を案内していただきました。出縄さんの叔父さま(前理事長:出縄明さん)が、児童40名で昭和33年に、ご実家を開放するかたちで設立された進和学園は、今では10箇所余りのホームやセンター、保育園を運営される規模になっています。「しんわルネッサンス」は生活介護と平行して、就労支援の場として6年前に新設されました。就労の中心は本田技研さんの下請けの一部組立で、数人のチームごとに分かれて作業を担当しています。
部品のミスを防ぐためのグッズが、手作りで設置されており、いたく感心しました。企業退職後の技師さんお二人が、作業所の委託を受けてはミニ発明を繰り返しておられるようです。自分たちで完成品をしっかりチェックできるように工夫されています。
他の仕事として、平塚伝統産業、ダルマさんの色の下塗り、紅茶の袋詰め、厨房の補助などあります。リーマンショックの時、本田技研の受注が減ったので、出縄さんや職員さんが奔走して、入所者さんの仕事を開拓したそうです。紅茶は個人経営の人気ネットショップさん発注でした。また、自分たちの食事は必ず受注があるのだから、それを仕事に組み入れようと、厨房の補助も開始したそうです。資本主義世界のちょっと地域よりの部分に、考えを練って可能性を広げていらっしゃるという印象でした。見学した作業所以外でも、製パン、クッキー、クリーニング、しいたけ栽培、陶芸、紙漉き、お弁当給食など、障害者の方々の自立へと、挑戦を繰り広げておられます。
今度は外側の道からもう一度森を眺めに行き、木々の生命力の強さに再度感心しました。

敷地内の畑で農業に取り組む利用者さんの姿も拝見しました。サツマイモにネギ、ブルーベリーの畑も。
森を育て、傍らで田を耕し、人が集う場所がある……モリPJが思い描く構造と重なりますね。「あとは温泉だよね。」という声もちらほら。炎天下の農作業は大変なことも実感しながら、それぞれ未来のモリに思いを馳せました。

そうして次は、タブの実拾いに繰り出しました。進和さんの採集はもう終了していたのですが、輪王寺さんの収集依頼をご相談したところ、まだ拾えるかもしれないと、現場に連れて行ってくださいました。平塚は昔はタブの木がたくさんあったそうです。今でも移動中の車窓から何度もタブの木を見かけました。なかでも市の保全樹木とされている二箇所にご案内いただきました。
何百年生きているのか知れない大きなタブの木の持つ雰囲気に、圧倒されます。祠にご挨拶して、近くの子供が不思議そうに見守る横で、大人たちはしゃがんでせっせと木の実を拾いました。仙台に送るのに十分な量集まりました。出縄さん、遠山さん、一緒に拾ってくださって、ありがとうございました。

その後は植樹2年目の万田ホームを見学。まだ幼い木々を見て、多摩美の植樹地の来年、再来年をイメージしました。
敷地のすぐ横には、大きな楠木とタブの木が並んで風に吹かれておりました。小高い場所で下に墓地もあります。岬の雰囲気でした。
「まだ時間大丈夫ですか?」と尋ねられて、次はなんと湘南平まで案内してくださいました。車を降りて先ず伺ったのは小さな山小屋風の「ともしびショップ」さん。店員さんは古株の進和利用者さん3人で、喫茶と販売所を運営しています。アイスコーヒーとクッキーをご馳走になりました。
お礼を言ってさらに上の展望台に登ります。螺旋階段をとんとんと天辺まで行きました。とっても眺望のいい日で、くらくらするほどの大パノラマが目に飛び込んできました。広々とした相模湾から遙かな江ノ島、湘南の市街地や田園の広がる平野、小高い丘や山々が目の届く限りずっと見渡せ、雄大な丹沢、箱根の山々がすぐ向こうに聳えています。その間には、雲をいただいた富士山がくっきりと大きく美しい姿を見せていました。ガラスなどさえぎるものの無い、むき出しの狭い展望台の上で風に吹かれながら、まるで空中に浮かんでいるといった不思議な感覚。想像もしなかったほど心のこもった、思いがけない贈り物をもらったようでしたね。
お土産にと、えりんぎと黄な粉の2種のパン、おからラスクまで頂きました。
鶴巻温泉まで送っていただき、メンバーは駅近くの料理屋さんで1時間あまり喉を潤し食事をしながら、軽くミーティングをしました。出縄さんが女将さんにご挨拶してくださったおかげで、サービスをしていただきました。ここでは地元のつながりがまだ生きているようです。皆おなか一杯になり次回の予定も決まり、6時半終了。こもごも今日の印象を話しながら、心をほっこりさせて電車に揺られて帰路に就きました。
皆様本当に盛りだくさんでしたね。お疲れ様でした。楽しかったですね。一同心から、進和さんに感謝いたします。
なお、進和学園の利用者さんたちが作る素敵な商品群は、オンラインでも購入できます。クッキーや紅茶、しいたけや陶芸作品、宮脇昭先生の似顔絵入りの手漉きはがき、そして苗木や有機肥料まで、楽しくて役立つ品揃えです。
http://xc531.eccart.jp/b625/
