くくのちのモリプロジェクト:モリPJ 活動レポート

「2011年の種子(たね)」第一回レポート

posted on 2011/10/29

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小雨模様の10月22日(土)、多摩美で今年第一回の種まきが行われました。

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最初に、くくのちのモリプロジェクトの長崎隊長より、
「2011年の種(たね)」のキックオフ挨拶がありました。
2009年、隊長がたった一人で、ドングリの種を播くことから始まって、
2010年夏にモリプロジェクトは発足しました。
去年の秋はメンバーもまだ少なく、種子を拾って研究所に届けるだけで精一杯。
種まきをお手伝いしてくださった初期メンバーの皆さん、ありがとうございました。

種子を集め始めてみると、木々の枝から溢れるように湧き出る、様々な形や色、
その無限かと思われる命の有様に、改めて心揺るがされ目を見張ったものでした。
「種子からモリへ」は最初からプロジェクトの合言葉だったのです。 

一年後のこの秋、プロジェクトも徐々に成長しメンバーも増えました。
ほとんどのメンバーズにとって、今回は記念すべき多摩美での「種まき初体験」です。

そしてこの2011年に、私たちにとって、この列島にとって、さらに人類にとって、
本当に大変な出来事が起こってしまいました。
自然と人間との関係は、かつてない深刻な事態に直面しています。
私たちが「人」と「モリ」との繋がりについて、今まで考えようとしてきたことを、
これからはさらに深く、何度も何度も「いのち」の根源から捉えなおすことになることでしょう。
3月11日以来いろんな思いが降り積もった心と共に、このHPを訪れてくださるみなさんが、
また見に来ようと感じていただける場所が生まれることを、プロジェクト一同は願っています。

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さて、今回は皆が各自で拾った種子を持ちより、トロ箱に播くことにしました。

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小雨を避けて庇のある場所をお借りし、種子を分類します。
お、結構たくさん集まったね。

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何だかどの子も可愛い。「つやつやころころしてる」「ちょっと色が違うね」
「この木の実の名前は?」「どこの神社で拾ったの?」

作業はにぎやかに進みます。コーチは経験豊富なHさん。

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「このくらいほっこら土を入れて」「種を播きます」

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「種が軽くかぶるようさらに土をふんわり」

全部播き終わりました。台車に載せて苗木置き場に移動。

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落ち葉を優しく上に乗せて、後は時々水やり、ほかは自然に任せて、春の芽生えを待ちます。

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「できたよー」「くくのちー」「2011年の種(たね)まきー!」
皆さんお疲れ様でした。

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その後、先日草取りをした苗木たちの様子を見に行きました。「うん、いきいき成長がいいね」
「シャリンバイの苗木にもう実がついている」
「いろは紅葉の種発見!綺麗な肌色だー」「風媒花だっけ」
次回の植樹予定地は、秋の業者さん大学恒例委託で、大部分の雑草は刈りとられていました。
「よかったー」「マウンドづくり4日にできるね」

作業場所に帰って、水を流して泥を落としお掃除、道具類を洗って綺麗に片付けます。
「雨は止んだようだね」
おなかぺこぺこメンバーズは、学食のテーブルに集まって歓談しながら、
美味しい昼食をいただきました。

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学食入り口横で猫ちゃん小屋発見~!つやつや丸々、どんぐりねこ版!

午後は研究所に移動してミーティング、主な議題は学祭の「植樹マンショー」でした。
隊長執筆によるお茶目な台本も完成、素敵な共演者さんたちが集まってくださいました。
PJ初のお祭りです。どうぞお楽しみに。(植)

くくのち通信:講座レポート

モリのフォークロア 第1回 講座レポート

posted on 2011/10/13

2011年10月1日、平井芽阿里さんによる「モリのフォークロア」第一回
「日本人の心に根ざす森への信仰」の講義が行われました。

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民俗学というよりあえて「フォークロア」としたのは、
幅広く、古く新しい概念として「モリ」を捉えたいということでした。

「森」とはなにか、ほとんどの人ははっきりと考えたことがありません。
平井さんの学生さん100人に、アンケート協力をしてもらったところ、
「森」を鎮守の森と考える人は3人。でも、「じゃあ身近な森とは?」の質問には、
「鎮守の森」と答える人が増えたそうです。人の心の中で変化する森の一面が見えます。

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一方で、一本の木を森と見立てることもあります。
山口県豊浦町では大きな一本の木が、「川棚のクスの森」と呼ばれています。
福岡県宇美町でも、二本のクスの木がそれぞれ、
「湯蓋の森」と「衣掛の森」と呼ばれ、安産の守り神になっているなど、
一本の木が「森」と呼ばれる例が、いくつもあるということです。ちょっと意外ですね。

切り方や木にまつわる知恵、伝承を紹介した本も参考にされ、
木と共に生きる暮らしが、古くからこの列島には伝えられていることが再確認されました。

次に、長野県大鹿村の具体例が示されました。
700年~800年前の石碑がいたるところに残っている、古い歴史のある村です。
村内には歴史を持つ木が多くあり、「矢立の木」「逆さ銀杏」「夜泣き松」など、
それぞれの由来が伝わっています。
1980年代までは林業が盛んだったそうで、現在でも、切っていい木悪い木が
語り伝えられているということです。
「森とは」と聞くと「森は山のことだろ」と答えが返ってくるという、山の懐深い村です。

その村で昭和36年に、「三六災害(さぶろくさいがい)」と呼ばれる大災害が起こりました。
「山津波」というほどひどい災害で、山の一部が突然崩落して、42人の方が亡くなられました。
供養のために植樹が始まり、容易には根付かない桜を何度も植えなおして、
やっと大きな木に育て、
50年後の現在では、大西公園と呼ばれる桜の名所になっています。
しかし、遺族の方々は供養で植えたものなので、
観光名所となっていることに対しては、複雑な気持ちが潜在的にあり、
対立する意識も重複し、その場所への人々の思いは今も揺れているということです。

何かについて思いを込めて植樹をするということは、新たな意識の空間を生むということでもあり、
木々が育つと共に、長い期間にその思いはその場に積み重なるということを、
考えさせられました。

また、樹木崇拝など、神々が宿る依り代としての根強い考えがある一方で、
木がない神社もあることや、樹木葬にも話題は及び、
年老いた大木だけに霊的なものを認めているのではないことも、納得されました。
自然と人の営みは単一な関係ではなく、木々や土地に対して人の意識が折り重なり、
思いの現れも様々なかたちがあり、個人の心の中でも、幾通りにも感じられるようです。

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くくのちのモリプロジェクトが作ろうとしている「モリ」も、自然と人工が絡み合い、
木々が成長するにつれて、さらに人の思いが重なり、
空間や時間と共にその姿は多様に変化していくのではないかと思われました。

次回はさらに「モリ」と「ひと」、その関係の核心に迫ります。どうぞお楽しみに。(植)

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くくのちのモリプロジェクト:モリPJ お知らせ

『2011年の種子(たね)』から

posted on 2011/10/12

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みなさま、2011年この秋は私達にとって特別な秋になりました。
大災害という言葉だけでは、ひとくくりにできない様々な思いが、
今私たちの心深く畳み込まれています。
くくのちのモリプロジェクトでは、この特別な秋に採集する木の実たちを、
「2011年の種子(たね)」と名づけることにしました。
この、「2011年の種子」を3年間心を込めて大切に育て、
たくさんの思いを共有できる「モリ」を作りたいと願っています。

手順は昨年と同じですが、第一回の今回はそれぞれが前もって採集した種子を持ち寄って、
皆で10月22日(土)多摩美でポットやトロ箱に蒔くことになっています。
どなたでもご参加いただけますので、参加ご希望の方はご連絡ください。

当日飛び入りもできます。
種子採集の種類、方法については下記をご覧ください。1種類でも数個でも大丈夫です。

種子は沢山ご用意していますので、お持ちになれなくても大丈夫です。

また、個人でベランダや庭でポット苗を育て、
「2011年の種子」による「モリ」作りに、参加ご希望の方には、
近日中に作り方をHPにてお知らせします。
グループでの参加もできます。

3年後に苗木を植えるモリの場所は検討中、募集中です。

進捗状況はHPやtwitterで公開していきます。

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開催要領:

日時:10月22日(土)  午前10時半~12時半頃。小雨決行、本降りの場合は10月29日(土)に順延。

場所:多摩美術大学八王子キャンパス http://www.tamabi.ac.jp/access/

集合場所:多摩美術大学内 芸術人類学研究所(メディアセンター棟内)

作業は絵画北棟前のテラスで行いますので、10時半までに来られない場合はそちらをお探しください。参加申し込みいただいた方には携帯番号などをお知らせいたします。

去年から育てている苗木群や、春に植樹した場所もご覧いただけます。作業終了後は学食でお昼を食べる予定です。

持ち物:汚れてもいい服装、ゴム手袋または軍手、できればドングリ、木の実類。

参加お申し込みは: kukunochimori@gmail.comまたはTwitter: @kukunochinomoriまで。

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首都圏の潜在自然植生による森づくり、秋の種子採集リスト:

高木

ドングリ類:スダジイ/アカガシ/アラカシ/コナラ

木の実類:サカキ/モチノキ/クロガネモチ/カクレミノ/シロダモ/ヤブニッケイ/ヤブツバキ/ネズミモチ

中低木

ドングリ類:ウバメガシ

木の実類:トベラ/シャリンバイ/サザンカ/マサキ/サンゴジュ/イヌツゲ/マルバグミ/イズセンリョウ/リンボク/ヒサカキ/ハマヒサカキ/ヤツデ/アオキ/ムラサキシキブ/センリョウ/マンリョウ/イヌマキ

くくのちのモリプロジェクトでは神社や寺院など「鎮守の森」的な場所で採集することを理想としていますが、公園などで集めていただいてもかまいません。採集する場所のルールに則って拾っていただけますようにお願いいたします。

また、落ち葉のたまった場所などは放射線量が高い可能性もあります。拾っているのを見て子どもがまねをする場合もあるかもしれません。ご自身の判断でご行動いただけますように、お願いいたします。

採集のポイント・ドングリ類の場合:

なるべく木から落ちて間もないものを選ぶ。割れているものやまだ茶色くなっていないものは避ける。

拾ってきたらすぐに、水を張った容器に入れてみる。そこで水に浮かんでしまうものは乾燥していて発芽しにくいので取り除く。中に虫がいるかもしれないので、そのまま水に40時間程度つけておく。

湿らせた布かペーパータオルで包んで、乾燥しないようにビニール袋かタッパーに入れて、蒔く日まで冷蔵庫(野菜室など)で保存。

ツバキとサザンカの場合:

割れた殻から取り出すか、今の時期なら割れていない実ごと採ってきて、しばらく置いておくと自然に割れるので、中の黒い種を取り出す。虫がいるかもしれないので、水につけるのとその後の保存はドングリと同じ要領。水に沈まなくてもOK。

果肉のある木の実の場合(サカキ、モチノキなど):

色づいて熟した実を選ぶ。果肉はむいた方が発芽しやすい。むきにくい場合はしばらく水につけると柔らかくなってむきやすくなる。その後の保存はドングリと同じ要領。

マサキやシャリンバイなどは実が色づいて割れてからが採集適期。

なお、10月12日現在、都内ではスダジイとヤブツバキは収穫真っ最中、カシ類は木によっては落ち始めていますが、緑のままで落ちてしまっているものも多いです。木の実類はまだのものがほとんどです。

くくのちのモリプロジェクト:モリPJ 活動レポート

平井芽阿里さん講座・モリPJからのプラスレポートです

posted on 2011/10/08

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2011年10月1日、くくのち学舎にて平井芽阿里さんの講座
「モリのフォークロア」が開催されました。
平井芽阿里さんはくくのちのモリプロジェクトの長崎隊長のお友達であり、
今回の講座もモリPJとくくのち学舎、多摩美術大学芸術人類学研究所との協働で
企画運営されました。
講座のレポートはこちらでご覧いただけますが、
ここでは講座を巡る周辺の話題をお届けします。 

長崎隊長により冒頭の挨拶があり、講座終了後にはモリPJの説明をしました。
隊長は宮古島育ち。平井さんも高校時代は宮古島で過ごされています。
宮古島の「ウタキ」を背後の共通項として、今後の協働が期待されています。

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会場の一角で、モリPJの小さな紹介展示をしました。スダジイとマテバシイのドングリ試食もあり、
人気でした。

参加者の関心も高く、早速11月の植樹祭に参加表明してくださった方も!よろしくお願いします!
緑化、植樹グループ 「響」さんと「たまもり」さんから、
数名のメンバーが講座に参加してくださいました。
」さんは明治神宮内で苗木を育て、企業のCSR活動などを通じて植樹を啓発、
神社にも植樹しているそうです(モリPJ憧れの先輩!)。「たまもり」さんは、宮脇方式の植樹に
積極的に参加する活発なグループです。
今後の情報交換、交流協力など、どうぞよろしくお願いします。 

講座後のミーティングで、平井さんの学生さんから募った森に関するアンケートを
詳しく拝見させていただきました。
中でも興味深かったのは、「木と対話するには?」という質問への学生さんの答え

        力いっぱい抱きしめる。

        おでこをくっつける。

        目を閉じて語りかける。

        聴診器を当てる。

        しめ縄をかけ、鳥居を立て、御神酒を上げ、お辞儀をして話しかける。

        敬語を使って話す。

木に対する畏怖や敬虔な気持ちが、現代っ子の学生さんたちにも
生き残っていることがわかりました。

平井さん講座の最後に上映された大鹿村の樹齢400年のシラカシの木のビデオ。
日本で一番「気」が高いと言われている大木です。
その苔むした木肌をなぞっていく映像を見て、植樹マンはぐっと来たそうです……。
(植樹マンはご存知、俳優の舩木さんです。モリPJメンバーで、多摩美芸祭にも登場予定)

打ち上げの飲み会:
民俗学、地域文化に造詣の深い、岩井國臣さん(元参議院議員)や、写真家のMOTOKOさんたちも参加してくださいました。多岐にわたる話題が飛び交い、とってもにぎやかで楽しい会でした。
初参加、画家の北島遊さんのポートフォリオ(作品集)を見て、研究所のIさんの言葉「バルビゾン派みたい。好みだなあ」。リベラやシケイロスなどメキシコ絵画を思わせる、という声もありました。北島さんは、大鹿村の隣に位置する中川村のりんご農家のご出身。農民画家(?)希望です。宮沢賢治みたいですね。(植)

≪講座後のメンバーの感想≫

・隊長コメント:先日の講座&ミーティングは、メンバーの今後のモリ作りへ向けての、
 意識、イメージの確認が出来、とても有意義なものでした

・実は「森」についてちゃんと考えたことがなかったと気づきました。
 足下を見ていなかったのですね。身体感覚として森が組み込まれていない私の森イメージは、
 どうも西洋(ドイツ?)の森くさいです。赤ずきんちゃんとか、ヘンゼルとグレーテルとか、
 そのあたりの童話イメージが刷り込まれているように感じます。
 日本だと、おじいさんは“山”に柴刈りに行きますもんね。森には行かない。
 でも万葉集にも「もり」は登場するようです(『ベネッセ古語辞典』)。
 森も盛りも守りも「もり」だな……。なんか関係あるでしょうか。どうやってできた言葉なのかな。

・≪木と対話する≫という言葉が、極当たり前に使われている現象についての考察が面白かった。
私も無機質なものに対しても当たり前に使っています。

山川草木悉皆成仏。モリプロジェクトの活動を通じて、日々、対称性の感覚を呼び戻しています。